こんにちは、Power BI サポート チームの山本です。
Power BI のライセンスについては過去記事「Power BI Desktop とPower BI サービスの違い:Power BIでレポート作成・分析を行うために必要なものは?」でもご紹介させていただきましたが、今回は、新世代のPower BI Premium であるPower BI Premium Gen2 についてご紹介させていただきます。
重要
本記事は弊社公式ドキュメントの公開情報を元に構成しておりますが、
本記事編集時点と実際の機能に相違がある場合がございます。
最新情報につきましては、参考情報として記載しておりますドキュメントをご確認ください。
更新履歴
Update: 2022/2/7
Gen2 の各SKU ごとのモデル更新並列処理数を修正いたしました。
詳しくは [Power BI Premium Gen2 の性能について]のセクションをご覧ください。
Update: 2022/1/31
Power BI Premium Capacity Gen1 環境からGen2 への自動アップデートは2022年3月に変更となりました。
また、Gen2 において各SKU ごとのモデル更新並列処理数が明示されました。
詳しくは [Power BI Premium Gen2 の性能について]のセクションをご覧ください。
Update: 2021/12/28
2021年11月中旬頃より、新たにGen2 においてもワークロード設定が追加されました。詳細は「Power BI Premium Gen2 のワークロード設定」の項目をご覧ください。
Update: 2021/10/27
現在Power BI Premium Gen2のロードマップについて、最新情報が発表されていますので、一部スケジュールの記載を追加しております。詳しくは記事内をご確認ください。
目次
- Power BI Premium Gen2 とは?
- Power BI Premium Gen2 の使用方法
- Power BI Premium Gen1(従来版) との比較
- Power BI Premium Gen2 の性能について
- Power BI Premium Gen2 のワークロード設定
- よくある質問
Power BI Premium Gen2 とは?
Power BI Premium の機能強化を目的に、アーキテクチャを再設計した新世代のPower BI Premium です。
2021年10月4日に正式にプレビューから一般提供に移行されており、容量ベースのPower BI Premium Per Capacity をご利用のテナントでGen2 への切り替えを行なうことが可能です。
具体的には、CPU やメモリなどのリソースをより最適化するような設計に代わった一方、リソースは全てMicrosoft 側で自動調整を行なうためその手間を感じさせない設計になっています。
以前と同じ容量プランにおいても、Gen2ではCPUやメモリにおいて物理的な制限が大幅に緩和され、データセットの更新、レポートのクエリ実行の速度という面では、パフォーマンスが向上されます。
また処理量に応じた仮想コアの自動スケーリングにも対応し、過負荷による速度低下を防ぐことが可能です。
ユーザー単位のライセンスであるPower BI Premium Per User もPower BI Premium Gen2 のアーキテクチャを採用しています。
Power BI Premium Gen2 の使用方法
Power BI サービスの管理ポータルより[容量の設定]から割当している容量をクリックし、
容量の設定画面上部からPremium Generation 2を有効化することでGen2 への切り替えが可能です。
Power BI Premium Gen1(従来版) との比較
従来のPower BI Premium と具体的にどう違うのか、表形式でまとめしました。
Premium Gen1 | Premium Gen2 | |
---|---|---|
リソースの使い方 | 「ユーザー側で手動調整」 予約されたリソースは組織専用で排他的に使用されますので、物理的な制限があります。 |
「Microsoft側で自動調整」 バックエンドコアに関しては、組織専用ではなく、クラウド内の物理ノードのリージョン クラスターに実装され、Power BI リージョン内の Premium 容量を使用しているすべてのテナントによって共有されます。 |
CPU/仮想コア | 「物理的な制限」物理的なリソース制限があります。例えば、P1なら仮想コア8個、バックエンドコア4個、メモリ25GB まで。 |
「クラスター内でリソースが共有される理論上の制限」各SKUにおいては理論上の仮想コアで、物理的にはもっと多い仮想コアが使用されます。 仮想コア数はCPU時間で定量化されます。P1容量に4つのバックエンドVコアがあり、30秒ごとにCPU使用率を計算します。したがって、バックエンドで最大4*30s=120sのCPU時間が処理に利用できることになります。 |
メモリー | 「合計値の上限」同時に実行する全てのワークロードによって使用されるメモリーの上限が決まっています。 例えばP1の場合、同時実行可能なワークロードの合計の上限は25GB までです。 |
「コンテンツごとの上限」一つの成果物(データセット、データフロー、ページ分割されたレポートなど)に対して利用可能なメモリーの上限はあります。 P1は一つの成果物あたりに25GBの上限がありますが、例えば、20GBのデータセットが二つあって、同じP1容量で同時に実行することは可能です。 |
ワークロード | 「リソース競合が発生しうる」同時に実行するワークロードは組織内のメモリー上限によって制限がありますので、リソースの競合が起きる可能性が高いです。 | 「リソース競合が回避される」Power BI ワークロード (データセット、データフロー、またはページ分割されたレポート) は複数の特殊なノード グループに分かれますため、異なるワークロード間のリソース競合を回避することが可能です。 |
ストレージ | SKUごとに 100 TB | SKUごとに 100 TB |
自動スケーリング | 非対応 | 対応。CPU使用率が上限に達した場合にコアが追加される。料金は利用時間の従量課金制(24時間ごと)。 |
データ更新並列処理 | P1はデータ更新並列処理6個まで、P2は12個までなど制限があります。 | Gen1 同様に並列処理の制限数が設定されています。 |
スケーリング方法 | スケールアップ(P1->P2など) | スケールアウト(並列処理の仮想コアの追加) |
*2021年10月時点の情報です。
//参考①:Introducing Power BI Premium Gen2 - YouTube
//参考②:Power BI Premium Gen2 のアーキテクチャ - Power BI | Microsoft Docs
//参考③:Microsoft Power BI Premium とは何ですか? - Power BI | Microsoft Docs
Power BI Premium Gen2 の性能について
Power BI Premium Gen2 の各SKU ごとの性能については、以下の通りとなっています。
容量SKU | 仮想コアのサイズ | バックエンドの仮想コア | CPU時間 / 分 | 成果物あたりのメモリ[GB]*1,2 | クエリあたりの最大メモリ[GB]*1,2 | DirectQuery\Live接続での1秒あたりの最大実行クエリ数 *1,2 | モデル並列更新処理数 *2 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
A1\EM1 | 1 | 0.5 | 30 | 3 | 1 | 3.75 | 5 |
A2\EM2 | 2 | 1 | 60 | 6 | 2 | 7.5 | 10 |
A3\EM3 | 4 | 2 | 120 | 10 | 2 | 15 | 20 |
A4\P1 | 8 | 4 | 240 | 25 | 6 | 30 | 40 |
A5\P2 | 16 | 8 | 480 | 50 | 6 | 60 | 80 |
A6\P3 | 32 | 16 | 960 | 100 | 10 | 120 | 160 |
*1 Power BI Premium Utilization and Metrics アプリは、現在これらの指標を公開していません。
*2 モデル並列更新処理数と各メモリの制限は、データセットに対して適用されます。
//参考:Power BI Premium Gen2 とは - Power BI | Microsoft Docs - Premium Gen2 の制限事項
Power BI Premium Gen2 のワークロード設定
Power BI Premium Gen2 においても、Gen1 同様に各機能ごとのワークロードの設定が可能となりました(2021年12月現在)
Gen1 と比較すると最大メモリに関する設定値がなくなっています。これは、前述の通り、ワークロード間のリソース競合が起こらない設計に変更されたため、各ワークロードの最大メモリ値の設定が不要になったためです。
各項目の詳細については、下記をご確認ください。
項目 | 既定値 | 許容値 | 内容 |
---|---|---|---|
クエリのメモリ制限(%) | 0 | 0~100 | ワークロード内でMDX または DAX クエリの実行に使用できる空きメモリの最大の割合。 |
クエリのタイムアウト(秒) | 3600 | 0~ | クエリがタイムアウトするまでの最大時間。 値 0 は、クエリがタイムアウトしないことを指定します。 |
最大中間行数 | 1000000 | 100,000~2,147,483,646 | DirectQuery によって返される中間行の最大数。使用されるデータソースによっては、さらに上限値に制約がある場合があります。 |
最大結果行数 | 2147483647 | 100,000~2,147,483,647 | クエリで返される行の最大数。 |
オフライン データセットの最大サイズ(GB) | 0 | 0~SKUごとの最大値 | メモリ内のオフライン データセット(pbix ファイルのサイズ)の最大サイズ。0 はSKU によって定義される最大値です。 |
ページの自動更新 | オン | オン/オフ | Premium ワークスペースで固定間隔に基づくページの自動更新を含むレポートを作成する機能のオン/オフを切り替えます。 |
更新間隔の最小値 | 5分 | 1秒~ | ページの自動更新がオンの場合に、ページ更新間隔に許容される最小間隔。 |
検出メジャーの変更 | オン | オン/オフ | Premium ワークスペースで変更の検出に基づくページの自動更新を含むレポートを作成する機能のオン/オフを切り替えます。 |
最小実行間隔 | 30秒 | 1秒~ | 変更の検出メジャーがオンになっている場合、データ変更のポーリングに使用できる最小実行間隔です。 |
XMLA エンドポイント | 読み取り専用 | オフ/読み取り専用/読み取り、書き込み | XMLA エンドポイント を使用して、Microsoft とサードパーティのクライアント アプリケーションおよびツールからの接続をサポートする機能。 |
AI - Power BI Desktop からの使用を許可します | オン | オン/オフ | Premium 容量リソースを使用してTextAnalytics や Vision 機能をPower BI Desktop で利用することを許可する設定。 |
よくある質問
Q. 今後Premium Gen2 への移行スケジュールについて教えてください。
Power BI Premium Gen 2 は、2021年10月4日に一般公開されています。
今後、Gen1 をGen2 に移行するためのスケジュールについて、Premium容量をご利用のユーザーに把握していただきたい重要な日付は以下の通りです。
- 2021 年 10 月 4 日 - Power BI Premium Gen2 が一般提供されます。
- 2021 年 11 月 15 日以降 - お客様に移行を促す通知の送信が開始されます。
- 2022 年 3 月中 - Microsoft により、すべての組織を対象に、Premium 容量の最新の Gen2 プラットフォームへの移行が開始されます。
以下の画像にて、各主要なマイルストーンをまとめましたので、併せてご確認ください。
//参考情報:Power BI Premium Gen2 への移行を計画する
Q. Power BI Premium Gen2 にもメトリックアプリはありますか?
Power BI Premium Gen2 にも専用のメトリックアプリを提供しております。
最新のアプリは下記の画像通りです。
Gen2 をご利用の場合はこちらのアプリをインストールしてください。 詳しくは以下公式ドキュメントをご覧ください。
Q. 自動スケーリングへの課金はいつから発生しますか?
自動スケーリングはPower BI Premium Gen2 が一般提供されてから30日後、2021 年 11 月 4 日 に課金開始されます。
それまでは、自動スケーリング利用時の課金はありません。
2021 年 11 月 4 日以降、引き続き自動スケーリングを使用する際に、今後課金される料金を把握できるように、容量のアドオンに関する Premium の価格の詳細をご確認ください。
また自動スケーリングはオプション機能であり、機能を有効にし、自動スケーリングが使用されない限り課金されません。
Power BI 管理ポータルで自動スケーリングを有効にすることができますので、詳細につきましては、以下の公式ドキュメントをご覧ください。
//参考情報:Power BI Premium で自動スケーリングを使用する
Q. Premium Gen1 に戻すことは可能ですか?
Power BI Premium Gen2 一般提供後は、Gen1 に戻すボタンは非表示となり、基本機能から除外されたため、戻すことはできません。
以上、本ブログが少しでも皆様のお役に立てますと幸いでございます。
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