Power BIレポートにおけるデータエクスポートの制御

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こんにちは、Power BI サポート チーム 金沢です。
Power BI サービスでは、レポートを Excel、PDF、PowerPoint スライド形式等でエクスポートすることができます。しかしながら、セキュリティ上の理由で、特定のユーザーだけにエクスポートを許可したい場合や、すべてのユーザーにエクスポートができないように制御したい場合があるかと思います。この記事では、エクスポートの形式毎に制御する方法をご案内いたします。

重要

本記事は弊社公式ドキュメントの公開情報を元に構成しておりますが、

本記事編集時点と実際の機能に相違がある場合がございます。

最新情報につきましては、参考情報として記載しておりますドキュメントをご確認ください。


目次



1. エクスポートの種類


Power BIサービスでは、様々なファイル形式でエクスポートが可能であり、これまでに以下の記事でエクスポート可能なファイル形式について紹介してきました。

Power BIサービスからpbixファイルをエクスポートする場合、レポート全体をエクスポートする方法と各ビジュアルをエクスポートする方法の2種類があります。
これらのエクスポート方法で、エクスポートできるファイル形式と制御可否を比較した表は以下の通りです。

レポートのエクスポート ビジュアルのエクスポート
エクスポートできるファイル形式 ・.xlsx (Excel)
・.pptx (PowerPoint)
・.pdf (PDF)
・.xlsx (Excel)
・.csv (CSV)
・キャプション付き画像
テナント管理者が制御できるか すべてのファイル形式で可能 すべてのファイル形式で可能
ワークスペースで共同作成者以上のロールを持つユーザーが制御できるか すべてのファイル形式で不可能 すべてのファイル形式で可能

テナント管理者が各機能を制御する場合は、[設定]>[管理ポータル]>[テナント設定]の各項目を設定します。
ここで、各機能を無効化する以外にも、特定のセキュリティグループのみ許可、あるいは許可しないように設定することが可能です。
たとえば、以下のように設定することで、[Excel にエクスポート]の機能を、指定したセキュリティグループのみに許可することができます。

図1. 特定のセキュリティグループに[ Excel にエクスポート]を許可する設定

次の章では、これらのエクスポート方法における、各ファイル形式での制御方法をご紹介します。


2. レポートのエクスポート


2-1. .xlsx (Excel)

[エクスポート] タブから [ Excel で分析] を選択する場合は、セマンティック モデルへライブ接続をする Excel ファイルが作成されます。ピボットテーブル等の機能を使用してセマンティック モデルを Excel で分析することができます。
[ Excel で分析]は、そのレポートのセマンティック モデル全体を含むExcel ブックが作成される機能で、ピボットテーブル等の機能を使用してセマンティック モデルをExcelで分析することができます。

テナント管理者がこの機能を制御する場合は、[テナント設定]の [ユーザーはライブ接続を利用して Excel で Power BI セマンティック モデルを操作できる]を設定します。

[ Excel で分析]を利用できないユーザーは、以下のように[ Excel で分析]が表示されなくなります。

図2. [ Excel で分析]を制御されたときの画面表示

2-2. .pptx (PowerPoint)

PowerPointへレポートをエクスポートする機能には、 PowerPoint 上でPower BI レポートの各ページを PowerPoint のスライドとして出力する方法と、 PowerPoint にライブ形式で Power BI データを埋め込む方法の 2 種類があります。

テナント管理者がPower BI レポートの各ページをスライド化する方法を制御する場合は、[テナント設定]の[PowerPoint プレゼンテーションまたは PDF ドキュメントとしてレポートをエクスポート]を設定します。
また、 PowerPoint 上にライブ型のPower BI データを埋め込むことを制御する場合は、[テナント設定]の[PowerPoint の Power BI アドインを有効にする]を設定します。

上記2つの設定を制限されたユーザーは、以下のように PowerPoint の選択肢が表示されなくなります。
(PDFでのエクスポートについても、同様の制御が適用されます)

図3. PowerPointへのエクスポートが制御されたときの画面表示

2-3. .pdf (PDF)

Power BI レポートの各ページが、1つのPDFファイルの中にページごとに出力されます。

テナント管理者がPDFへのエクスポートを制御する場合は、[テナント設定]の[PowerPoint プレゼンテーションまたは PDF ドキュメントとしてレポートをエクスポート]を設定します。
なお、この設定は「2-2. .pptx (PowerPoint)」と同じ設定であり、設定内容は PowerPoint のエクスポートにも適用されます。

[PowerPoint プレゼンテーションまたは PDF ドキュメントとしてレポートをエクスポート]を制限されたユーザーは、以下のようにPDFへエクスポートする選択肢が表示されなくなります。

図4. PDFへのエクスポートが制御された画面表示

3. ビジュアルのエクスポート


3-1. .xlsx (Excel)

[データのエクスポート]では、ビジュアルに表示されているデータや、ビジュアルの作成に使用されているデータなどを.xlsx形式でエクスポートすることができます。
[データのエクスポート]で.xlsxファイルをエクスポートする場合は、[現在レイアウトのデータ]、[概要データ]、[基になるデータ]の3種類のエクスポート方法があり、それぞれの詳細な違いについては以下の公開情報に記載があります。

ワークスペースで共同作成者以上のロールのユーザーは許可するエクスポート方法を選択することができます。
ワークスペースにて設定したいレポートの[…]>[設定]>[データのエクスポート]にて[集計されたデータと現在のレイアウトを使ったデータ]、[集計データ、現在のレイアウトのデータ、基になるデータ]、[なし]の中から選択します。
たとえば、[集計されたデータと現在のレイアウトを使ったデータ] を選ぶと、ユーザーは[集計されたデータ]と[現在のレイアウトのデータ]をエクスポートすることができますが、[基になるデータ]はエクスポートできません。

上記のように、ワークスペースで共同作成者以上のロールのユーザーが[基になるデータ]を制御した場合、ユーザーは以下のように[基になるデータ]を選択できなくなります。

図5. [データのエクスポート]で[集計されたデータと現在のレイアウトを使ったデータ]を選択した場合のエクスポート画面表示

また、ワークスペースで共同作成者以上のロールのユーザーは、ビジュアル上で[データのエクスポート]を含むアイコンを非表示にすることで、ビジュアル単位でエクスポートの可否を制御できます。

レポートを編集モードにして、対象のビジュアルを選択し、[視覚化]>[ビジュアルの書式設定]>[全般]>[ヘッダーアイコン]トグルをオフにすると、レポートへマウスをかざしても以下のヘッダー アイコンが表示されず、エクスポートができなくなります。

図6. ヘッダー アイコン

続いて、テナント管理者が[データのエクスポート]を制御する場合は、[テナント設定]の[ Excel エクスポート]を変更します。

[ Excel にエクスポート]を制限されたユーザーは、以下のように[エクスポート]のボタンが選択できないようになります。

図7. [ Excelエクスポート]が制御された画面表示

3-2. .csv (CSV)

[データのエクスポート]では、.xlsx形式だけでなく、.csv形式でエクスポートすることもできます。
[データのエクスポート]で.csvをエクスポートする場合は、 [概要データ]にてエクスポートできます。

ワークスペースで共同作成者以上のロールのユーザーが.csvへのエクスポートを制御する場合は、ワークスペースにて設定したいレポートの[…]>[設定]>[データのエクスポート]で [なし]を選択します。
([なし]を設定した場合、.xlsx形式へのエクスポートも制限されます)
ワークスペースで共同作成者以上のロールのユーザーが[なし]を選択した場合、ユーザーはビジュアル上で[データのエクスポート]を選択できなくなります。

図8. [データのエクスポート]で[なし]を選択した場合の画面表示

続いて、テナント管理者が.csvへのエクスポートを制御する場合は、[テナント設定]の[.csv にエクスポート]を変更します。

[.csv にエクスポート]を制限されたユーザーは、以下のように[エクスポート]のボタンが選択できないようになります。

図9. [.csv にエクスポート]が制御された画面表示

3-3. キャプション付き画像

リンクを含むキャプションとキャプチャを取得する、キャプション付き画像というビジュアルのエクスポート方法があります。

ワークスペースで共同作成者以上のロールのユーザーが、キャプション付き画像の取得を制限する場合は、レポートを編集モードにして、対象のビジュアルを選択し、[視覚化]>[ビジュアルの書式設定]>[全般]>[ヘッダーアイコン]>[コピーアイコン]のトグルをオフにします。

ワークスペースで共同作成者以上のロールのユーザーが[コピーアイコン]をオフにした場合、ユーザーには[キャプション付きの画像としてコピー]のアイコンが表示されなくなります。

図10. [キャプション付きの画像としてコピー] が制御された画面表示

続いて、テナント管理者がキャプション付き画像の取得を制御する場合は、[テナント設定]の[ビジュアルのコピーと貼り付け]を変更します。
[ビジュアルのコピーと貼り付け]でキャプション付き画像を制限されたユーザーは、図10と同様に、[キャプション付きの画像としてコピー]のアイコンが非表示になります。


4. 最後に


Power BI はレポートを共有するための製品であることから、画面のスクリーンショットを撮るなど、内容を保存する行為はシステム側で制御できません。したがって、共有されたユーザーがレポート情報をキャプチャし、他者に展開することを完全に防ぐことはできません。
このため、レポートを共有するユーザーが適切にデータを扱うように情報リテラシーを高め、レポートへ適切な権限を付与することが重要となります。

以上、本ブログが少しでも皆様のお役に立てますと幸いでございます。


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